政府があなたの給料のためにできること。給料が安いのは政府のせい?働き方の二面性(4/4)-雇用政策篇

政府があなたの給料のためにできること。給料が安いのは政府のせい?働き方の二面性(4/4)-雇用政策篇


1回目の「なぜ働かなければいけないのか」に引き続き、2回目は「給料が安いのはあんたのせい」で労働者の二面性、3回目は「起業に憧れてる人は起業の悪い面を知ってますか」で経営者の二面性を紹介しました。

最後は、参院選に向けて政府が労働者と経営者に対して何ができるのかをまとめたいと思います。

政府ができることはとても簡単にまとめることができます。それは(1)サービスや業界における企業間の競争を激しくさせるか、(2)特定のサービスや業界を守るかどうか、この2つに分けることができます。

※色んな企業が存在し、その中に色んなやり方があるため、あくまで多くの企業をさして「一般的」とさせて頂きます。

1、競争をさせる政策

よく日本では正社員と非正規社員の格差を問題視して話題になることがあります。

※正社員と非正規社員の賃金差
Source: 非正規雇用が多い若年層の賃金事情は…正社員・非正社員別、世代別の賃金動向をグラフ化してみる

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ただし、ここにも二面性が存在します。正社員のメリットは辞めさせられにくく(辞めにくく)給料も安定的に伸びていく立場ですが、反対にデメリットは非正規より能力がなくても正規であれば給料が高いということです。

これは常にコストと利益を考える経営者からすればとても悩ましい問題で、雇用する際にその労働者が給料以上の成果をだしてくれるのか、出し続けてくれるのか、そうであれば正社員でもいい、となりますが、そうでなければ非正規のほうがコスト=給料が安いので都合がいいのです。

つまりここまでの話では「正社員」という政策は労働者を競争から遠ざける=労働者を守る政策と言えます。

しかしここで最近話題になるのが、「同一労働同一賃金」という政策です。

とても簡単に説明すると、正社員でも非正規でも同じ仕事(能力)なら同じ賃金にしようということなのですが、これを行なうと能力のない正社員の給料は下がり、能力のある非正規は給料があがることになります。

これが何を意味するかと言うと、正社員・非正規関係なく、能力で賃金を勝ち取る、つまり競争を激化させるための政策なのです。能力が高い方が経営者としても嬉しいですし、企業の売上が上がれば経済の循環もうまくいくかもしれません。

ただ、ここでリスクとして考えられるのが、もし全員能力を上げる努力をしなくなれば、全員給料がさがってしまい、消費に使うお金が減り、経済が回らなくなる可能性もあるということです。

また現状では給料が安い非正規ですが、会社によっては非正規でも能力が高ければ給料が高いところもあるでしょうし、フリーランスであればそのような状況になりやすいと思います。

そこにさらに同一労働同一賃金が加わると、自由にやめやすい非正規の方々は、給料が上がらない会社を簡単にやめ、給料の高いところ(=正当に能力を評価してもらえるところ)に転職するようになり、転職をする人はもっと増えるかもしれません。(雇用の流動化と言います)

政府としては能力を向上させてもらわないと困るので、職業訓練の機会を増やす必要があります。

それから派遣社員の制度などでも「辞めさせられやすい=経営者優位」とすぐにとらえてしまう人がいますが、「辞めやすい」ことはメリットになります

そしていわゆる「規制緩和」も競争激化のためです。ここで詳しくは述べませんが、最近では医療業界がその対象として注目されています。

これが競争をさせる政策です。

2、守る政策

守る政策とは、多くの人にとって安く提供してもらわないと困るサービスだったり、国の伝統や文化として将来も残していきたいと考えられるサービスだったり、それらを叶えるために色んな政策をうつことです。

競争させる政策ですでに「正社員」をみましたが、他にも色んなものがあります。

例えば助成金や補助金です(違いはこちら)。特定の目的に対して政府がお金で支援します、というものですが、農業は補助金で守られている側面もあります。政府としては地産地消を守りたいのかもしれません。

※日本はOECDの平均の2倍以上の補助金を農家に払っている。
Source: GDPの1%しか占めない農業が日本の政治に隠然たる影響力を及ぼしている。

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また、最低賃金も一つの守る政策として考えられます。つまり、能力の有無に関わらず最低限もらえる給料が決められるわけです。ただそのおかげで労働者全員が最低限の生活を安定的におくることができやすくなります。

それから極端な見方をすれば、公共サービスを担う公務員や、高い関税も守る政策に入ります。公共サービスなんかはものによっては民営化されて競争にさらされることもよくあるかもしれません。

これが守る政策です。

3、最後に

競争させることでサービスが良くなると言われる一方で、努力しなければ落ちぶれてしまいます。守ることでサービスや給料が安定すると言われる一方で、企業間・サービス間で切磋琢磨しなくなりサービスの質が落ちます。

どちらかもしくはどちらを多めに信頼するのか、様々な統計情報や自分の好みでこれらを選ぶ必要があり、それが選挙にもつながるのです

結局、どちらのやり方でも政府としては税収が増えて安定的に公共サービスが提供できさえすればいいのですが、そのやり方が違うということです。