3年間で300冊読んだ私がおすすめする社会を知るための12冊

3年間で300冊読んだ私がおすすめする社会を知るための12冊


2013年1月から2015年12月まで、人文系の思考能力を鍛えるために、1年間で100冊読むという目標をたて、見事達成することができました。そこで、その中でも特に「骨太で分かりやすくて偏りすぎていない社会を知るための本」を12冊紹介したいと思います。社会篇、生活篇、デザイン篇の3テーマに分類して紹介します。

※ただ完全に私の好きな本を紹介してしまいますと私の「本癖」がバレてしまいますので多少一般向けにしております笑。

【 社会篇 】

「社会」という言葉をちゃんと使うなら正しい使い方ではないかもしれませんが、ここでは「人間が集団になってお互いにお互いの生活を成り立たせていく過程やその手段を用いた結果の形」と言った意味で使いたいと思います。そういった意味では、意識の低い人も、意識の高い人も、投票する人もしない人も、みんな社会の中で生きています。社会が良い方向に進めば自分の生活も良い方向に進むかもしれませんし、悪い方向に進めば生活も悪い方向に進むかもしれません。社会を考える必要があるかどうかは価値観次第ですが、社会が分からず不安な人向けに以下の本を紹介します。

1、スミス・ヘーゲル・マルクス

まず紹介させて頂きたいのはこちらです。題名の通りアダム・スミス、ヘーゲル、カール・マルクスというまさに最近で言えば近代のイノベーターを追っていく本となっています。近代とは何か、自由主義・国家主義・社会主義など、今の社会の形にいたった背景を知るにはとても良い本です。

2、なめらかな社会とその敵

お次はこちらです。著者は現在SmartNewsの社長として有名となっている鈴木健さんですが、研究者としての鈴木健さんが存分に表れている一冊です。近代システム(資本主義や民主主義)の中でとても大きな前提となっている「個人主義」に対して「分人主義」という新たな前提を提案している本となります。

3、メディア論―人間の拡張の諸相

3冊目はちょっと古いですがマーシャル・マクルーハンの本です。一般的にはメディアとは「マスメディア」のことと思われがちですが、この本では本来の「メディア(media : mediumの複数形 = 媒体の意味)」に対してアプローチがなされています。テレビやラジオ、映画といった情報媒体だけではなく、衣服や自動車、兵器もメディアとして考えられています。「メディアはメッセージである」や、ホットメディア・クールメディアなどの言葉が有名です。社会の中でいかにメディアが大事か書かれています。

4、哲学用語図鑑

4冊目は一気に軽くなりました。あまりこういうと哲学学者(哲学者ではなく)から怒られてしまいそうですが、これ一冊読むと「ざっくりと」哲学の歴史を概観することができ、最低限自分自身がどんな哲学・思想を受け継いでいるのかが分かります。もちろん本当は気に入った哲学者の本を全て読んで深堀っていくがいいのですが、哲学に入るのに時間がなかったりとっつきづらくて読めてない人にはこの一冊がお勧めです。ちなみに哲学というと個人の生き方みたいに思われる方がいらっしゃるかもしれませんが、個人の生き方を許容するのか排除するのかは「社会の軸」次第となりますし、その軸を哲学や思想が大きく担っています。

【 生活篇 】

次のテーマは生活篇です。ここで言う「生活」とは「政治やマスメディアなどに依存しなくても自分自身で頑張っていかないといけない仕事や家庭、友達、恋人の話」のことを意味しています。多くの人は生活のことを考えていて、そこから幸せになったり不幸になったりするものだと思います。その幸せをどうしたらつかみやすくなるのか、私自身にとって大きかった本を紹介します。

5、改訂3版 グロービスMBAマーケティング

いきなりビジネス書となりますが、この本はとても重要です。この本の中での「マーケティング」の意味とは「市場の変化を敏感にとらえ、顧客満足を中心にした買ってもらえる仕組みとそれを組織内に構築すること」とあります。これをもっと抽象的にいうと「人を自然と巻き込むための仕組みづくり」と言えます。マーケティングは起業する人には当然、また、会社に入ってる人、仕事を請け負うエンジニアにもとても大事な考え方で、これを知っているか知っていないかでは仕事の仕方が変わってきます。さらに、仕事だけではなく人間関係にも使えます。顧客の満足とはなにか、という視点がビジネスだけではなく様々な人間関係、そして社会の形にかかわってくるのです。

6、アイデアのつくり方

アイデアを見つけたい人全てにとっての名著です。ページ数もかなり少なく、だいたい60分ぐらいで読めるものです。最初は読んでも何言っているのかさっぱりかもしれませんが、何か自分でやっている人、そこにアイデアが必要な人にとっては「あるある」な話ばかりが書かれています。

7、コミュニティを問いなおす―つながり・都市・日本社会の未来

コミュニティとは社会よりももっと抽象的な「集団」や「チーム」、人によっては「無意識的に集まった群れ」のことを言います。2人以上が最小コミュニティであれば、家族もコミュニティですし、恋人や友達との関係もコミュニティです。人間関係は人の価値観によって形成されていきますが、コミュニティの形も人の価値観によって形成されます。また人の価値観は時代の変化に影響を与えたり受けたりします。なのでコミュニティの形を見ることは様々なことを考える上で大事なのです。

8、サブリミナル・インパクト―情動と潜在認知の現代

こちらの本は心理学や脳科学にも関係があるかと思いますが、「人間は考えるよりも潜在意識の方が行動に影響を与えている」というテーマの本です。これを読むとあまり考えすぎても仕方ないことや、自分らしさって案外簡単に見つかることなどが分かりますが、一方でコミュニケーションにおいて潜在意識の作用を知っている人が知らない人を操ることができる側面もあるということが分かります。

【 デザイン篇 】

社会篇と生活篇で網羅できてるかもしれませんが、さらに「デザイン篇」という切り口で最後に紹介します。デザインとは表面上の色や飾り(decoration)ではなく、「設計(design)」という意味です。設計とは「目的を達成するための手段作り」というと分かりやすいかもしれません。つまりそこに目的とそのための適切な手段があればそれは何でもデザインです。建築が特にデザインの中では基礎であり、そのほかには視覚的に目的を達成する「グラフィックデザイン」、製品を通じて目的を達成する「プロダクトデザイン」などがあります。政策や芸術も目的のための手段であればデザインと言えるでしょう。デザインとは生活と社会を結びつける役割があり、その結びつけ方の事例集が以下の本になります。

9、常用デザイン―21世紀を生き抜くデザイン

現在デジタルハリウッド大学の教授でありグラフィックデザイナーである南雲治嘉さんの著書となります。デザインの歴史的な流れや流行、目と脳のつながりなど、分かりやすく書かれています。こちらに加えて「レイアウトデザイン」や「視覚デザイン」もお勧めです。

10、x‐DESIGN――未来をプロトタイピングするために

こちらは慶應義塾大学湘南藤沢キャンパス(SFC)の先生方が書かれた本となっています。最先端の技術や新しい考え方、研究の中で模索されているデザインをまとめられた本となっています。

11、リアル・アノニマスデザイン: ネットワーク時代の建築・デザイン・メディア

こちらは建築やメディアなどデザイン業界で有名な方々が集まって書かれた本となっています。例えば川崎和男さんや猪子寿之さんなどが関わっておられます。

12、スペキュラティヴ・デザイン 問題解決から、問題提起へ。—未来を思索するためにデザインができること

最後に紹介するのが最近出版されたこちらの本です。デザインとは「目的を達成するための手段作り」と書きましたが、その「目的」のほとんどは「問題解決」が主でした。例えば「生活を豊かにすること」や「貧しい人たちの生活水準をあげること」などです。しかしこの本で紹介されているデザインの目的とは「思索(speculation)」です。決まった答えがない社会、多様な価値観が存在する社会、価値観と価値観がぶつかりやすい社会などが当たり前となっていて、そのためには何か一つのことを問題だと決め付けるのではなく、「その問題は本当に問題なのか、問題であればその解決策は正しいのか」など”思索”していくことを目的としています。

以上で紹介を終わりますがいかがでしたでしょうか?キーワードとしては近代、思想、デザイン、マーケティング、メディア、コミュニケーション、コミュニティあたりで、全部読めば全部つながっていることに気づきます。「二面性」というコンセプトを作り出すためにもとてもお世話になった本ばかりでした。

私自身、小説や漫画ではなく「評論」をちゃんと読んだのは初めてで、読む前と読んだあとでは考え方がガラリと変わりました。みなさんももしこれらに関係する本がありましたら、ぜひご紹介ください。