コンテンツマーケティングの流行とライターの低賃金(下)

コンテンツマーケティングの流行とライターの低賃金(下)


1週間前に掲載いたしました「コンテンツマーケティングの流行とライターの低賃金(上)」のつづきをお届けします。前回の記事をご覧になっていない方は、こちらからご覧ください。

 

破壊的な報酬がライターにもたらす2つの弊害

前回、ライターの報酬が破壊的であることへの批判に対して疑義を呈しました。ですが、一方で筆者は、破壊的な報酬設定が2つの弊害をもたらすとも考えています。

それは「コンテンツの質の低下」「ライターの成長の阻害」です。

これは、破壊的な報酬が設定された仕事の風景を、実際に考えてみると分かりやすいでしょう。

 

*どんな成果物を提出しても「いいですね!」としか言われない

筆者がクラウドソーシング系のサイトで仕事をこなしていたときの話を例としたいと思います。

安い報酬で仕事を依頼をしてきた企業は大抵、こちらが出した成果物に対して「いいですね!」「バッチリです!」としか言わなくなりがちです。「ここを修正して欲しい」「もっとこうして欲しい」といった要望を出してくることが、あまりありません。

おそらく安価な報酬だから、そこまで強く言えないという心理が働いているものと思われます。ですが、そこはビジネスですから、フラットに応じなければいけません。

 

*修正依頼がないから記事の質も高まらない

そしてこのように、修正点があってもその依頼を出しにくいという心理が邪魔をしてしまうことで、記事の質が高まらないといった事態にもなります。ですが、それでは読んでくれるユーザーのためになりません。

 

*ライターの成長にもつながらない

そして、修正点があっても指摘されないということは、ライターの成長につながらないということでもあります。常に「いいですね!」と言われることになるので、自分の不足を客観的に見極めることができません。

これは特に駆け出しのライターにとって大きな痛手です。

駆け出しのころは、仕事がありません。つまり、仕事一つひとつが貴重な成長の機会。しかし、この低報酬がもたらす「いいですね!」は、その貴重な一度の機会を奪ってしまうのです。

 

結局のところ、低報酬であることで「修正依頼が出しにくい」→「記事の質が高まらない」→「エンドユーザーに響かない」→「ユーザーがサイトから離れていく」→「利益が上がらない」→「低報酬でしか依頼が出せない」→「修正依頼が出しにくい」→(最初に戻る)という悪循環に陥ってしまうのです。

もちろん、これはビジネス本来のあり方ではありません。なによりも考えられるべきは読者であるユーザーのことです。ですが、低報酬はそのビジネス本来のあり方を阻害してしまいます。

 

報酬額に関わらずフラットにコンテンツ制作を

前回もお伝えしましたが、低報酬というのは「営業をかけた顧客が値切ってきた金額」と同じわけです。それは直接依頼をされた場合でも、クラウドソーシング系のサイトを経由して受けた依頼でも、同じです。そのため、その金額に不平不満を漏らしても、あまり生産性はありません。

ですが一方で、低報酬であることが上記の通り、エンドユーザーのためにならない負のサイクルを生み出してしまっている面もあります。もちろん、そこを意識して仕事に取り組まれていれば問題はありませんが、あまりそうなっていないのが現状だと思われます(特にクラウドソーシング系のサイト経由でやりとりされる案件)

 

報酬額がいくらであれ、ビジネスはビジネス。

これまでライターの成果物に「いいですね!」としか言ってこなかった企業や、その現状をそのまま受け入れてきたライターは、自分たちはなんのために、誰のために仕事をしているのか、そこを見つめ直す必要があると言えるでしょう。